ネタバレなし
需要は多分ないけど巌窟王モンテ・クリストの武器デザインの流れ(思考)を残しておきます。文字だけだけど。
ただ、イドをこれからプレイする方にとってはもしかしたらノイズになるかもしれないので、見ない方がいいかもしれません。新鮮な気持ちでイドをプレイしていただきたい。
もし自分が復讐をしたらを考える
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巌窟王の復讐と比較して自分は火種になる気も身を削る覚悟もねぇんだなと、情けない自分がありありと想像できて若干恥ずかしくなる
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復讐に関連した資料を漁る(主に映画と小説)
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復讐のための行動力がいかに凄まじいのかがわかる。いろいろ思い浮かぶ言葉はあるがとにかく皆真面目
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50〜100個くらい復讐や巌窟王から連想した単語を書き出してマインドマップにする(触覚、味、オノマトペなど)
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連想した中から気になった単語を元に資料漁る
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特に気になった単語を元に追加で資料を漁る(舞台の動画とか)
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資料とマインドマップから何が復讐の形になるか厳選していく
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いっぱい案を描き出して復讐の形を探る
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巌窟王(生前)の復讐のこと考えながらたくさん案描く
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絵を描く人相手ならこれで伝わるはずと思ってめちゃくちゃ汚いラフを送りまくる。本当にごめんなさいでした
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復讐のこと考え過ぎて「復讐ってよくないよ!!!!!」と思い始めちゃって手が止まる。たくさん描き過ぎてゲシュタルト崩壊が始まる
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それでも復讐のために、そして恩義のために命を削るような行動したんだよなぁ…………すげーわ………人を大事にできるなら自分も大事にしろよ.........と思いながら案をまとめる
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もろもろ思いついたものを組み合わせる
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ラフ
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清書
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完成
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提出
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実装
ないとは思うがシナリオが強いゲームだと何かしらの変更あり得るから5パターンくらい可能性としてのデザイン考えておくかーと案は考えてあったけど、その必要はなかったのであった。良かった良かった。パージ状態とか変形機構とかもしかしたら飛行するかもロボになるかもとか、思考だけ暴走してました。
復讐の根底には内臓がぐちゃぐちゃになりそうな怒りがあるだろうに、いざデザインとして落とし込もうとすると、その激情を収める外見はどんどんデザインが整っていくのが面白かった。復讐のための俯瞰がどれだけ大変かにも気づきました。燃えているのに冷静にならなきゃいけない。辛いのに深く考えなくてはいけない。掻きむしりたいのに笑顔を作らなきゃいけない場面が何度あっただろう。しんど〜〜〜〜〜〜ってなる。冷静でいられるもんかよ。傷つけられた被害者なのに、復讐を選んでしまったために、どれだけ自分の荒れ狂う気持ちで自分を傷つけただろうか。身を焼き尽くさんとする消えない炎というのは本当に、復讐にふさわしいモチーフですね。
FGOを遊ぶ決めてになったのは酒呑童子。巌窟王はあの後ろ姿にFGOで初めてかっこいい!!と強く思って好きになったキャラでした。少しでも関われて良かった。こんなことってあるんだなー。
なんだかんだキャラデザの仕事やってて9年くらい経つんですが、ひとつのテーマでこれだけ深く考える時間をとれたのは本当に久しぶりでした。制作の機会をくださり誠にありがとうございます。兔ろうとさんのおかげで良い経験をしました。
仕事の合間、今年中に何か形にできたらいいなーと思います。