「君たちはどう生きるか」感想(ネタバレやや有り)
「君たちはどう生きるか」観てきました。
ネタバレ有りとは言え映画のキャラはどうなったかなどは語らない。
比喩、暗喩、何を意味しているのかとか、調べたりすることなく、映画見たまんま一発目の感想。思ったまま全部。
ひとつだけ。見終わってから、「CMを見てしまったら生まれていたであろう、こんな作品かもしれないという期待」を排除する意味ではCMなし戦略は大正解だったなと思った。動画が世に出回る前に見ることができて本当に良かったと思ったので、早めに見ることをお勧めします。
以下、ネタバレ感想。
一発目、大平晋也さんの作画でぶん殴られました。あれは大平晋也さんしか描けない...。
星新一の「ブランコの向こうで」を思い出す作品でした。広がっていく世界観は創作者がみんなやりたがることをやったと感じられるものばかりで、うらやましくて仕方なかった。
最初に、リボンもされていないシンプルな箱を、映画を観る側に開けるか開けないかの選択をさせる。箱を開けて、その中に入っている不思議な模様の、様々な形の個包装されたものをひとつひとつ開けていく。食べ物かもわからないけど、ザラザラで、トゲトゲで、時になめらかになるそれを、口に含んでみる。おぞましく見えたり、甘そうな味かと思ったら苦かったりする中身。すべて開けて振り返ると意味ばかりが散らばっている。そんな作品のように感じた。「ちゃんと食べたか?」「自分は本当にそれを消化しているか?」と自問自答し続けている。
評判が分かれるというのは納得。意味が解らない、という言葉で片付けていいものではないものばかりが随所に込められている。見終わったらタイトルが問いかけてくる。「君たちはどう生きるか」
昨今なんでも説明しなければ理解してもらえなくなったんじゃないかという創作の場に「俺は映画、こう作るね」と静かな矢を射るような作品だった。押しつけじゃない。攻撃じゃない。だけど、柔らかで強烈な痛みだった。
凄まじい皮肉が随所に散りばめられている。見終わって振り返ってみると皮肉ビンタと言わんばかりに最初から最後までずっと痛い。その上で、どう生きるかと問う。生きねば。
これから歴史と鳥について調べて、また感想に変化が起きるんだろうな。こういうところがまたひとつの映画の醍醐味だよね。映画のチケットはちり紙ではないという再確認。箱を開けてみてよかった。